居場所やフリースクールで
自分らしく過ごしていた子どもたちでも
中学の後半の頃には進学のことが気になり始めます。
勉強への不安が大きくなったりします。
親御さんも「この先どうなるのだろう?」と不安になると思います。
だからこそ、
子どもに先回りして提供するためではなく、
子どもが「高校に行きたい」と言った時に、
一緒に考える材料を持つために、
少し早めにいろいろ調べてみませんか?
高校の受験については、先生と子どもと保護者の三者面談で決めていきますが、
先生によっては、不登校の子や特性のある子の進学先について詳しくないこともあるようです。
親御さんがいろいろ調べてから先生に相談すると、先生もより親身になって考えてくださるかもしれません。
ここでは、不登校だったお子さんでも通いやすい高等学校についての情報をお届けします。
ー 目次 ー
県立高校への進学について
(入試のしくみ/不登校の子の場合/入学後の不登校への対応について)
私立高校への進学について
(全日制高校/高等課程を持つ専修学校/通信制高校)
「高校」とひとことに言っても、現在は、通い方や内容などにいくつか種類があります。
その違いと 、該当する県立高校をご紹介します。
種類 | 特色 | 県立で該当する学校 |
全日制高校 | 通常の時間帯において授業を行います。 | 全88校 |
定時制高校★ | 夜間、その他、特別の時間、又は時期において授業を行います。 | 日立工業高校、太田第一高校、水戸農業高校、土浦第一高校、石岡第一高校、竜ヶ崎第一高校、古河第一高校、友部IT専科高校(午前の部と午後の部) |
フレックススクール★ | 多部制(午前部・午後部・夜間部)の定時制の単位制の高校です。 生活スタイルに合わせて通学時間を選ぶことができます。 |
高萩高校、水戸南高校、鹿島灘高校、茎崎高校、結城第二高校 |
アクティブスクール★ | 習熟度別学習や少人数指導により基礎学力の確実な定着を図った上で、インターンシップやデュアルシステム、体験活動などの多彩なキャリア教育を実施する全日制課程の単位制高校です。 | 茨城東高校、石下紫峰高校 |
通信制高校★ | 課題の添削指導(レポート)、面接指導(スクーリング)、試験(テスト)、インターネット等のメディアを活用した指導など通信による教育を行います。 | 水戸南高校 |
特別支援学校 | 心身に障害のある児童・生徒が通う学校で、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。 | 全22校 |
高等専門学校(国立)★ | 社会が必要とする技術者を養成するため、中学校の卒業生を受け入れ、5年間(商船高専は5年半)の一貫教育を行います。 | 茨城工業高等専門学校(国立) |
専修学校(私立)★ | 調理や美容、看護など実践的な職業教育、専門的な技術教育を行います。 | (私立7校) |
※特色のある学校として、2023年度からつくばサイエンス専科高校(全日制)、友部IT専科高校(定時制)が開校します。
※★マークのある学校は時間調整をしやすく、★マークのある学校は特定の分野を学ぶことができるので、
不登校のお子さんも利用しやすいかもしれません。
各学校の詳しい情報は↓
茨城県内の高校を、県立・私立も含めた一覧・エリア別・学科別に検索出来ます。各学校のパンフレットが一覧で選べ、ネット上で読むことが出来ます。各校の情報はこちらからご覧ください。
入試=「県立高等学校入学者選抜」は、まず大きく分けて「共通選抜」と「特色選抜」があります。
「特色選抜」は文化・芸術及び体育、奉仕活動及び生徒会活動のいずれかの分野において優れた資質・実績がある人を対象とする選抜です。
実施校・実施内容については、参考までに「特色選抜実施概要一覧(令和6年度版)」をご覧ください。
「共通選抜」は学力検査と調査等で選抜します。
この「共通選抜」は、「A群」「B群」の2段階で合格者を決定しています。
共通選抜:選抜の流れ
1. A群選抜:入学定員のうち、学力検査と調査書等により定員の80%以内の合格者を決定します。
2. B群選抜:残りの定員に対して、学力検査重視・調査書重視の2つの方法を使って合格者を決定します。
B群選抜での、学力検査重視・調査書重視の人数比率は
各高校が20:80~80:20の間で決定します。
詳しくは、
「高等学校別入学者選抜実施方法:全日制(pdf)」
「高等学校別入学者選抜実施方法:定時制(pdf)」
に、その比率が載っていますので、ご覧ください。
茨城県教育委員会のリーフレット「県立高校はあなたの思いを大切にします(pdf)」には
県立高校入学者選抜の詳細が載っています。(令和4年度入学者版)
中学校に1日も出席していなくても、通知表がオール1または斜線表記の場合でも、進学をあきらめる必要はありません。
茨城県では、不登校だったお子さんも、出席日数や調査書の影響の比重が少ないB群選抜枠により合格するチャンスを得やすくなっています。
とはいえ、もし何か心配なことがあったり配慮を必要とする場合には、
まずは子どもの状況や希望を高校側へ丁寧に伝え、相談してみてください。
例えば、受験に際し、
感覚の過敏さや不安感で、一般教室での受験がしにくい、
LD(学習障害)等により通常の試験用紙や解答方法が難しい、
などの場合に、どのような対応が可能なのか?
あわせて、入学後
教室で過ごしづらいときの別室があるか?
学校にカウンセラーがいるか?
登校しにくい時の単位や試験の対応があるか?
などを聞くと良いと思います。
また、不登校等及び障害があることにより不利益な取扱いをすることがないようにするための手続きもあります。
細則P.22「13 障害のある受検者等の取扱い」
通常の学力検査の方法では受検が困難と認める者について、
茨城県教育委員会と協議の上、
検査方法、検査時間及び検査場等について適切な措置を講じる。
提出書類:細則P.53 様式第18号「障害のある受検者等に対する特別措置申請書」
細則P.22「14 自己申告書の提出」
欠席が多いことの事情や障害のあることによって生ずることがら等について、
説明する必要がある場合、提出することができる。
提出書類:細則P.56 様式第20号「自己申告書」
高校になると学校への行き辛さや特性に対して、サポート体制が整っていない学校が多いです。
高校は義務教育と違い、出席日数や単位が進級や卒業に大きく関わってくるので、
どんなことでも、まずは学校に相談すること、
一人で悩まずに、なるべく早い段階で相談することが大切です。
入学後に不登校になった場合の学校の対応について、高校教育課の方に伺いました。
茨城県教育庁高校教育課では、全ての県立高校に対して「欠席については、その子その子の背景に基づいた柔軟な対応を。最大限の配慮を。」と求めています。 出席日数が心配な場合は早めに担任に相談しておくことで、担任が各教科担当と連携し、各教科単位数をおよそ計算して、危なくなる前に事前に教えてくれる事例があります。学年主任にも相談しておくと、担任と一緒に全体を見て対応してくれます。 また、起立性調節障害や適応障害など特別な事情があり出席が難しく単位が足りなくなる可能性がある場合は、医師の診断書をもとに、欠席日数への緩和措置が行われる事例もあります。その他、オンライン授業支援や別室登校なども可能です。 こうした「柔軟な対応・最大限の配慮」の具体策は、各高校で柔軟に対応できることになっています。 まだまだ各学校現場や各教員まで十分に浸透していないかもしれませんが、ぜひ、茨城県ではこうした考えに基づいているということを知り、学校とも早め早めに相談・連携をしていってください。 困った場合は、県高校教育課の生徒支援・いじめ対策推進担当に相談もできます。 |
また、公立学校では合理的配慮を行うことが法的に義務付けられていますので、
学校もお子さんの状況や心配事を知っておくことで早めに対応してくれます。
●合理的配慮とは●
障害者の権利に関する条約 第2条
合理的配慮とは、
障害者が他の者との平等を基礎として
すべての人権及び基本的自由を享受し、又は行使することを
確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、
特定の場合において必要とされるものであり、
かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
茨城県教育委員会 リーフレット
「合理的配慮を踏まえた就職・進学に向けた支援の充実(pdf)」より
茨城県は、私学へも合理的配慮や不登校支援に取り組む高校への補助金を始めており、今後理解と支援が進んでいくことに期待したいです。
●文部科学省:「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」
「不登校生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき、下記の要件を満たすとともに、当該施設への通所又は入所が、不登校生徒の将来的な社会的自立を助ける上で有効・適切であると判断される場合に、当該生徒の在籍校の校長(以下「校長」という。)は指導要録上出席扱いとすることができる」 「当該施設は、教育委員会等が設置する適応指導教室等の公的機関とするが、公的機関での指導の機会が得られないあるいは公的機関に通うことが困難な場合で本人や保護者の希望もあり適切と判断される場合は、民間の相談・指導施設も考慮されてよい」 |
とありますが、今のところ茨城県内では高校生も通える適応指導教室はなく、
民間フリースクールで出席扱いにしている高校も残念ながらないようです。
私立の全日制高校は県内に24校あります。
その中で、学校案内や教育方針の中に不登校に対する対応について
明記し、対応していることが確認出来ている学校は、以下の1校です。
(入試方法は、下記ホームページでご確認ください。)
学校方針>教育方針>IV 本年度の重点目標>4 不登校生徒や発達障害の傾向をもった生徒への支援の充実(pdf)
他に該当する学校があった場合は、調べて確認ができ次第、順次掲載していきたいと思います。
私立の高等課程を持つ専修学校は県内に6校あります。
その中で、学校案内や教育方針の中に不登校に対する対応について
明記し、対応していることが確認出来ている学校は、以下の1校です。
(入試方法は、下記ホームページでご確認ください。)
面倒見のいい学校>中学校の時に不登校ぎみで遅刻や欠席が多いのですが大丈夫ですか?
こちらは専修学校ですが、不登校の子も比較的通いやすい学校です。
水戸南高等学校技能連携校のため、専修学校と県立高校の2つを同時に卒業することができます。
他に該当する学校があった場合は、調べて確認ができ次第順次掲載していきたいと思います。
私立の通信制高校は県内に13校あります。
通信制高校とは、通信による教育を行い、基本的に毎日通う必要がなく、
日々の学習課題である添削課題(レポート)を郵送やネットを活用して提出することのできる学校です。
1年間の単位はレポート提出と、スクーリング(学校によって日数は違いますが、何日間か学校に通います)、テストを受け合格ことで取得できます。
最短で3年の在籍と必要単位の取得で高校の卒業資格が得られます。
この特徴から、不登校の子も進学しやすい高校だと言えます。
「通信制」それ故の仕組みがあり、ややわかりにくいです。
通信制高校への進学を考える時に出会う言葉や仕組みについてご紹介します。
通信制高校は名前の通り高校卒業資格を得ることのできる高校です。
通信制サポート校とは、通信制高校の生徒に対して単位取得・進級などに対する支援を行う学校です。
勉強はもちろん、精神面や生活面といった部分でもサポートをしてくれます。
不登校だった子に対するサポートを積極的に行っている学校も多いです。
但し、サポート校のみでは高校卒業資格を取得できませんので併せて提携の通信制高校に在籍することになります。
ネットで検索をする場合など、区別なく出てきますので、通信制高校なのかサポート校なのかは注意する必要があります。
こちらのサポート校のサイトにも、通信制高校の詳しい情報がいろいろ載っています。
つくば学びの杜学園 つくば高等学院
通信制高校の学費は本当に様々です。
これは通学体制(週に何回通えるか等)にもよるようです。
サポート校は通信制高校とサポート校の両方の料金が必要になりますので、通信制高校のみよりも高額考えられがちですが、実は通信制高校の通学コースや進学コースに入ると別途費用が掛かり、サポート校に入るのとそれほど変わりません。利用の仕方によっては安くなることがあります。
多くの通信制高校が4月と10月(学校によっては年3〜4回の学校も)に入学、編入の制度を取り入れています。
転入に関しては随時という学校が多いように感じます。
入学は、中学校を卒業して通信制高校に入学することを言います。
転入は、在籍している高校から通信制の高校に移る場合を言います。
空白期間がないので、必要単位さえ取得できれば通算で3年間在籍すれば卒業資格が得られます。
編入は、学校を退学している場合を言い、編入できる時期が学校によって決まっています。
高校在籍の期間に空白ができますので、卒業できる時期が18歳の3月より先になります。
転入・編入を考えた時には、それまでの取得単位が問題になることがあります。
どれだけの単位を引き継ぐことができるか(学校によって単位が認められる科目も違うようです)、
それと共に、年間にどれだけの単位を取得することができるかで卒業のタイミングも違ってきます。
通信制高校は、年間で取得できる単位上限数が学校によってかなり違いがあるようです。
転入・編入を検討する際には頭の隅に入れておいても良いかもしれません。
私立の各学校の詳しい情報は↓
県外にも不登校だった子も通えそうな学校がいろいろありますので、いくつかご紹介します。
高校には行かずに、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験です。
試験の合格者は、国、公、私立のどの大学、短大、専門学校でも受験でき、就職や各種の資格試験等においても活用することができます。
但し、この試験に合格しても「高校卒業」の学歴にはなりませんので、上の学校に進まなかったり、大学を中退したりした場合、最終学歴は「中卒」となります。
詳細はコチラから↓